にくブログ

にく✧

2020-01-01から1年間の記事一覧

短編「不女ちゃん」

木の下の水溜まりでズボンだけになってる。 それはズボンだけ履いてるのではなく、ただ僕のズボンだけなんだ。 今日は新宿で酒席であった男たちと待ち合わせ。 僕は、さっきその男たちに会った。でも、そこから記憶がない。 でも、なぜ水溜まりの近くに僕の…

あの日の残像

今も焚火の炎は燃えている。 塩胸の胸中には、あの日の幼い自分が焚火をしていたことが蘇っていた。 どうしてあの日は、夏だったのに寒かったのだろう。 枯れた枝木は静かに燃えながら、こちらを見つめているような気がしていたものだ。 「静子、まだ来てな…

玉玉な相撲

玉崎は今月、彼女に勧められて相撲を観に行った。 そこで、髪の長い、まあ普通くらいの美人と出会い、相撲を観ながら話をしたのだが、どうやらこの普通美人は大酒飲みらしい。 「玉崎さんは相撲に興味あるんですか?」 「いやないんだ。彼女に勧められたんだ…

入院した彼

彼は精神病へ急遽入院することになった。 そこで、米田さんという男と知り合いになる。 米田さんは常に手が震えており、自分の部屋で毎日情熱的な音楽を聴いていた。 彼は米田さんに気に入られ、毎日のように部屋へ来るように言われて、彼は少し困ったような…

今日書いた詩

透明の正体透明な何かがあり風のようにも見えるし土のようにも見える 透明な何かは三層になってるようにも見えるし層などないようにも見える もしかしたら私は何も見ていないのかもしれないだが見ているような気もしなくもない 時間もなく漂っているその透明…

昔書いた詩2

倨傲の囁き やがて誰かのその声は聞こえなくなる自己欺瞞に耽る大人達の目に怯えされどそのように世界が見えている自分自身が自己欺瞞に耽っていることを彼は知らない 世界は貧しいと考え 闇雲に救いを求め自分自身は価値の無い人間だと感じつつも「本当に価…

昔書いた詩

煩い静寂 孤独の神がいたら 僕は貴方に愛を与えたいその孤独を分けてもらえるなら 話しかけないが手に入れる愛も恋も知らないなら 知らない分を僕にくださいその知らないは 誰よりも知ってるから 行方も孤独という洞窟で 洞窟の温度は無の温度叫びは鳴り止ん…