岩満陽平作.「黒縄地獄」
いっそドビュッシーの月の光でも聴きながら、心臓の鼓動が徐々に弱まり、眠りながらしにたいと思ったことがあるだろう。
そんな発想がときどき現れるにつれ、いつになったらしぬのだと、首吊りをするほどの勇気もない、だからといって、夢に見る自然と横になったままいつの間にかいなくなることもできない。
なかなか死なない地獄だ。
自殺しなければ、もうなんだかほとんど飽きてしまった日常にいるしかない。だけど、しにたくもない、だけど、眠りながらしねるなら。
そんなことは、ありはしない。
なかなか死なない地獄が内にあり、それを僕がやめないかぎりは。